ある木漏れ日の昼、学校の屋上でうたたねしてたらいつの間にか不思議な世界に迷い込んでしまった財前くん。もちろん服装もあのコッテコテのアリスドレスに変わってて、「夢であったとしても死にたいわ…」ってぼやく財前くんのその前を、白いウサギの耳をはやした伯爵みたいなカッコの謙也くんが「急がんと遅刻やわ!!」ってピューッと通り過ぎていったので、「自分ばっかり男モンの服着やがって…」ってイラチおこした財前くんは、とっさにそのあとを追いかけます。原作のようにかわいいからあとを追うのではなく、ぶん殴るためにあとを追うのが財前アリステイストです。

さて原作通り、ウサギを追いかけてワンダーホールに落っこちてからは、「身長がでかくなりたければわたしをお飲み☆」ってメモを読んでうっかり巨大薬を飲んじゃったり(財前くんは伸びない背にコンプレックスを持っているといい!)、身動きが取れなくなって困ったあげくに小人薬を飲んだりというハプニングに巻き込まれつつ、どんどんワンダーランドの奥地へ進む財前くん。蓮の葉っぱに座ってタバコをふかしているダメなイモ虫のオサムちゃんや、「なんでもない日ばんざい!かわいい子ロックオンばんざい!」「小春と一緒におれるその奇跡にばんざい!浮気だけはノーばんざい!」な小春とユウジの帽子屋&時計ウサギコンビや、のらくらした発言で財前を煙に巻く九州弁チェシャ猫の千歳や、大暴れして周り中を困らせる公爵夫人の子供の金ちゃんらとの出会いを経て、財前はとうとう謙也ウサギの最後の終着点とおぼしき、ハートの女王のお城へたどりつきます。ちなみに屋敷の庭に咲く、歌って踊れるバラの花は銀さん希望。(※馨っちんから参照意見を取り入れました)当のお屋敷では「女王さまの夕ご飯のチーズリゾットを盗んだのはだれか!!」ということでハートの女王の裁判が行われていて、迷い込んだ財前くんはうっかり被疑者にされ、これまたうっかり死刑判決を受けてしまったからさあ大変!!もちろん、女王さまはエクスタシーなあの子^^ちなみに立場の弱〜い王様には、小石川を推します。裁判のさなか、あの赤と黒のトランプ柄のドレスをノリノリで着て登場する白石に、たとえ夢であれ内心「うっわ〜…」ってドン引きの財前くん。しかしあのさわやか〜な細谷ボイスで「首を切れ!!」って言われたんじゃ、うかうか引いてる場合じゃない、っていうかたまったもんじゃありません。とっさに逃げようとするのですが、まわり中をドンドンドドドンとトランプ兵に囲まれて、アリス財前大ピンチ!!

「ん〜ん、エクスタシー♪」と上機嫌で鎌を振り上げる白石に、あ〜オレの人生終わったわ〜、ってなげやりな気持ちになる財前くん。しかしそんな彼の体を、何者かが抱き上げてバリケードをジャンプして逃走するから、ドビックリ!!もちろん、財前アリスを抱え上げたのは、時計ウサギの謙也くんです^^「こいつを最初に目ェつけたん俺やし、こいつをこの世でいっちゃんかわいい思てるのも、俺や!!悪いけどもろてくで!!浪速のスピードスターに追いつけるもんなんか、この世にはおらんっちゅー話やあああああ!」って叫んで、財前をお姫様抱っこしたまま、すごい勢いで走る謙也くん。後ろのほうでは、さっきまで自分を取り囲んでいたはずのトランプ兵がなぜかにこにこと手を振って見送ってくれていて、お城を出てぐんぐんと走り抜けていくその途中途中では、「頼むで、新部長」、とオサムちゃん。「光ちゃん、ラブ・ロックオン☆たまにはアタシとも遊びましょ!」「浮気か!死なすど!」、と小春とユウジ。「よか風が吹いとう。だから笑いなっせ」、と千歳。「財前、気張るでええええええ!!!」、と金ちゃん。「つまづくようなことがあったら、すぐワシに言いなはれ」、と銀さん。「お前なら心配いらへんわ」、と小石川。そして「任せたで。財前」、と、かすかに笑って手を振る白石。みんながみんな、駆け抜けていくふたりを見送ってくれます。抱えられてる財前くんは、しばらくはポッカーン、としたままぱちぱちまばたいてるだけなのですが、やがてむすっと拗ねた顔になって、ちょっと赤くなり、なおかつ泣きそうな頬をごまかすように、謙也ウサギの首筋に顔をうずめるのです。「クサイっちゅーねん。みんながみんな、アホちゃうか」ってね。


そしていつの間にか財前くんは元の四天宝寺中の屋上に戻ってて、服装もいつもの学ランに。ただ眠る前と違うのは、ひとりぼっちで寝てたはずの自分の隣にいつの間にか謙也が眠っていて、彼の腕が夢の終わりのときのようにぎゅっと、自分を抱きかかえていること。実はこのとき、ふたりは付き合いたて。眠る謙也くんの胸には、「卒業おめでとう」のリボンがついた造花の花があって、それは式をさぼって屋上で寝ていた財前くんの見た、夢と現実の入り混じった甘くてかわいくて優しくて、ちょっとせつない夢のお話なのでした。おしまい!!



あとがき


わいわいがやがやどたばたしている四天を書くのが楽しいことに気付いたころです。