「おそれる」









敵性怪獣を倒すと同時に倒れ伏したジャッカル。駆け寄った7人は、ジャッカルが既に事切れていることを知り、恐慌する。さっきまで、そこで、笑って、丸井が握る手を、しっかりと握り返していたのに――。戦慄する7人にチェシャ猫が愉悦の口調で告げたのは、残酷な真実だった。彼らが時計ウサギから引継ぎ、パイロットとなったロボットは、襲い来る敵性怪獣と戦うたびに、起動させたパイロットの命ひとつひとつを「動力源」として動くものだったのだ。一度契約を結んだ以上、7人の命が装填されたロボットは、彼らの命に共鳴した残り7つの戦いを勝ち抜かない限り、ゲームを終わらせることは出来ないと言い切るチェシャ猫。次の敵性怪獣はいつやって来るのか、そしてその時パイロットに選ばれるのは誰なのか――。無表情の幸村、激昂する真田、目を眇める柳、ただ瞠目する柳生、俯く仁王、恐慌する切原。逃れられない死の運命に圧倒される7人の中、とりわけ動揺したのは丸井だった。戦う意味も、結果さえ何も知らされず、時が来たら容赦なく奪われていったジャッカルの命。眠るように唐突に、呆気なく死んでしまった親友の姿が、丸井を戦慄の狂気に追い込もうとしていたのだった。
そんな最中、無慈悲にも次のパイロットを指名して呼ぶ声が、そろそろ7人の内誰かに下るはずだと告げるチェシャ猫。同時に、ジャッカルの時と同様回り始めた8つの椅子――ルーレット――を止めようと躍起になる丸井と切原だが、見えない壁に弾き返され、近付くことさえ出来ない。やがて回転のおさまった椅子の中、操縦席の位置で止まったのは、彼ら立海テニス部のレギュラーがコートの中でいつも使っている、真っ白な木製ベンチだった。古び、木目の粗いその椅子に、いつも腕を組んで背筋を伸ばして座っていたのは、8人の中でたったひとり。


「声が、聞こえた」


抑揚の無い、低い声で名乗り出たのは、真田だった。

ぼくらの世界の夜明けまで、あと、7人。





(to be continued…)