|
少し伸びた前髪を かき上げたその先に見えた 緑がかった君の目に映りこんだ 僕は魚 いろんな言い訳で着かざって 仕方がないって笑っていた 傷付くよりはまだ そのほうがいいように思えて 夏の風が 君をどこか 遠くへと奪っていく 言い出せずにいた思いを ねえ 届けなくちゃ 君を失いたくないんだ 君にいま 会いたいんだ 会いに行くよ たとえどんな痛みが ほら 押し寄せても 鱗のように 身にまとったものは捨てて 泳いでいけ 君のもとへ 君のもとへ それでいいはずなんだ 季節の変わり目はあいまいで 気付いたらすぐ過ぎ去ってしまうよ まだなにひとつも 君に伝えきれていないのに 夏の風に君を呼ぶ 乾いた声 消されないように あふれそうなこの思いを もう ちぎれそうなくらい 叫んでみるんだ 君にいま 伝えたくて 歌ってるよ たとえどんな明日が ほら 待っていても 鱗のように 身にまとったものは捨てて 泳いでいけ 君のもとへ 君のもとへ それでいいはずなんだ 君にいま 会いたいんだ 会いに行くよ たとえどんな痛みが ほら 押し寄せても 鱗のように 身にまとったものは捨てて 泳いでいけ 君のもとへ 君のもとへ それでいいはずなんだ それでいいはずなんだ 秦基弘さんの「鱗」という歌です。秦さん結婚オメー!!鋼とガラスの歌声、と評されてデビューした頃からなんとなく好きでいろいろ聞いていた歌うたいさんなのですが、この「鱗」という歌が、なんとなくわたしの中のイメージの謙光な感じなので、思い切って載せてみました。いろいろなしがらみから吹っ切れた謙也くんから、財前くんへの歌な雰囲気。また出たよ歌語り^^好きだねぼたもち^^スイマセン!! 謙也くんと財前くんに関しては、好きだとか、このひとが特別なんだ、と自覚するのは絶対的に財前くんが先だと思っています。謙也くんはそういうことには超絶!鈍そう。自分とある程度ウマが合うやつのことなら誰のことも好きで、大事で、等しくわかりやすくお人よしっぽいです。そんなわけなので女の子には、へたすると男の子にも、とりま95%には「いいひと」で終わっちゃう子っぽい。謙也くんも謙也くんで自分がそういう星の下なのはなんとなくわかってるので、そのあたりは「まーえーかあ」と深く考えないタイプとみた。ちなみに余談ですが、従兄の侑士はこの真逆で、95%は誰からもソツなく好かれるけど、残りの5%には本気で嫌われる子だと思います。そしてこの5%に入るのが日吉と、出会ったばかりの頃の跡部だと思う。話がそれた! 話を謙也くんに戻すと、前にも書いた気がするのですが、この基本的に何から何まで「まーええかあ」で片付けるところが謙也くんの決定的にすごいところで、決定的に残酷なところだとわたしは思ってます。そのミソは、たとえ95%のひとが「いいひと」で謙也くんを片付けても、残りの5%のひとは彼を本当に本当の意味で好きになる、というところ。なのに謙也くんが自分のことで理解できているのは、大概の場面で自分は「いいひと」で終わっちゃう星のめぐりだってことだけなので、つまりは彼は自分を本気で好きになってくれる残り5%の子さえも、「まーええかあ」で片付けちゃうっていうニブチンだというわけです。わたしは、この5%に入るのが財前くんなんじゃないかなと思っています。 財前くんはああいう性格だから、たぶん友達も進んではあんまり作らないし、特に年長者からは絶対的に疎まれるタイプだと思うので、四天に入って、あらゆる意味合いで自分の言動に動じないテニス部の面々に、客観的には呆れつつ、内心では目を白黒させてたんじゃないかなーなんて思います。顔にはあんま出さないけど、わりと最初はパニックだったらかわいい。中でも謙也くんに対してはそう感じるのが顕著で、自分のことを「ほんまお前はかわいげない」ってすぐはたくわりに絶対的には見放さず、呼びつけてはダブルス組むぞって言ったりする彼のことを、ほんとこのひとなんなんだろうって、心の底から「理解できん」と思っていたらいいです。 財前くんの中で決定的に謙也が特別になったきっかけについては、まだちゃんと考えてないんですけど、財前くんはきっと謙也の、誰に対してもセッカチに、まっすぐぶつかってくことしか出来ないところがすごく目について、でもその実直さは自分にはないものだなって思って眩しく感じたりもして、下心なんかなにもない言動だったり、太陽そのままみたいな笑顔だったりをどんどん気にしだして、あるとき何かをきっかけに唐突にパーンと、「あ、俺、この人のこと好きなんや」って自覚したらいいと思います。わたし的にはそれが、準決勝で千歳にレギュラーを譲った謙也の横顔を見た、まさにあの瞬間だったらいいな、と思うんですけど。でも自覚したと同時に、学校の優勝のために自分とのダブルスを断ち切ってベンチに下がっていく謙也の背中に、財前くんはこの恋の成就を諦めざるを得ないということを、はっきりと感じ取ってしまうのだと思います。だって謙也は、ああいう人だから。ニブチンでバカで単純だけど、本当に大切なものをきちんと見て、知って、そのために自分が何をしなきゃいけないかを、ちゃんと考えてる優しいひとだから。だったらそんな彼に、俺の手なんか取らせてちゃいけないね、と。自分のこの思いを知ったなら、謙也がただでさえ足りない頭をうんうん捻って悩んでしまうに違いないということがわかるから、なおさらに財前くんはそう思うんじゃないかしら。「初恋が実らへんって、本当やったんやなー」と、自覚したと同時に終結せざるを得なかった自分の感情を、そんな風にどこかでドライに見下ろしてしまう財前くんは、年頃らしく損な性格だと思ったり。 さて全国が終わり、現3年生たちが引退したあと、そんなこんなのせいで急によそよそしくなって自分に近寄らなくなる財前くんに、首を傾げるのは当の謙也くんです。最初は「白石いなくなって、部長業が大変なんやろなー」と思って「まーええかあ」といつもの調子で気にしないんだけど、だんだんいやこれおかしいぞって気付くようになる。だって謙也くんはニブチンだけど、本当に人が出してるSOSやつらい感情には、絶対的に気が付くようにできている人だから。それでさんざん遠のきたがる財前くんに踏み込んで思い切り近付いて、「なんや悩みがあるんなら俺に言いや、水くさい!」とかそういうことを言っちゃう人なんだろうと思い、ます。わー。それこそ余計なお世話や!と思う財前くんの細かい心情に関しては無頓着なのに、彼がつらいこと、悩んでいるということだけは見抜く謙也の心憎さよ…。 最初はそんな謙也の残酷さにも、「何の事っすか」とそらっとぼけていた財前くんだけど、そんなやりとりをインターバルを空けつつ何度もやるうち、とうとう財前くんのほうがたまらなくなって、「ほんなら、あんた俺があんたのこと好きって言ったら、どうしますのん?付き合うとでも言う気ですか。冗談やないわ、俺もあんたも男やっちゅうのに。そんなん、俺がいっちゃんわかっとるっちゅうねん!」と逆ギレしちゃうといいです。それでポッカーン、となった謙也くんを見て我に返り、後悔して、いよいよ本格的に謙也を避けるしかなくなる財前くん。言うつもりなんかなかったのに、困らせるつもりなんかなかったのに!自己嫌悪と困惑と憎悪と哀惜に、手詰まりになってますます逃げ回るだけしか出来なくなってしまいます。 一方謙也もまさかそんな展開になるとは思ってもみなかったので、財前くんに一体何を言ったらいいのか、何をこたえてあげればいいのか、皆目わかりません。あの顔に感情出にくいかわいげのない後輩が、ここんとこずっとつらそうにしとったと思ったら、それ俺のせいやったんかい、ってなって、頭が真っ白になっちゃう。自分を見つけたら、今まで見たこともないほど青くなって、怯えたみたいにいなくなってしまうあの子に、何かを言ってあげなければいけないのに、一体自分は何を答えなければいけないんだろう?あの子は俺を好きと言った、でも好きって何だ。好きって、一体どういうことなんだ?俺はあいつをどう思っているんだろう、あの子と一体どうなりたいんだろう? いくら考えても答えがさっぱり出ず、「悩んでます」という顔で日々を悶々と過ごす謙也くんを見て、白石あたりは敏感にそれが財前絡みなんじゃないかと気が付くような気がしますが、彼はわりと情に保守的な人だと思うので、同じ立場である謙也あたりに「後悔しない選択しぃや」とか、無難な助言をするだけにとどめる気がします。なんとなく。人を蹴っ飛ばしたり追い立てたり変えたりするような行動をしなそうなので。 さて、そんなふうに八方塞がりになった謙也を変えるのは、受験が終わり、ユウジくんあたりとふたりで地元の公立高校への進学を決めた、まさに卒業式の日だといいと思っています。これはサキちゃんの昨日のブログ記事を読んでいて思い浮かんだんですけど、結局お別れのこの日まで財前くんとは疎遠になったまま謙也くんに、ひとりの下級生の女の子が、泣きながら第二ボタンをもらいにやってくる、というのが転機だといいなと!彼女もまた、謙也に本気で惚れちゃった5%の人のひとりで、この上さらに?!とぎょっとなる謙也をはやしたてる小春とユウジ、ほほえむ銀さん、わかってない金ちゃん、ふらふらしてる千歳、どうするの、という顔で見る白石。その女の子はよわく、たよりない肩をしていて、かわいらしく、生まれてこの方女の子に告白されたことのない謙也はめっちゃテンパるのですが、でも財前に返事もしていないこの状況で、彼女になにかを答えることなんて出来ない、と唇をかみます。そしてまた再認識してへこむのです。ああ、ほんとに俺は、あの子に何もしてあげられていないんだなあ、と。 その瞬間、そんな彼の腕を、ガッと唐突に掴んだ腕があって、瞠目する謙也くん。振り返って見下ろした先には、今までさんざん疎遠になってたはずの財前くんが、まるでかつて一緒にテニスコートで走りまわっていたときと同じ、眠そうな無表情で立っていて、そんな彼はたったひとこと、謙也くんに向かって、「もう、ええっすわ。」、と言うんです。驚く謙也くんに、彼が自分の後輩になってからはじめて、かすかなほほえみを見せる財前くん。でも、笑ってるというのにその顔は、なんてさびしそうなんだろう!そのまま、財前くんは身をひるがえして、卒業を悲しむ卒業生や、見送る下級生達の雑踏の中に消えていってしまいます。あっという間に人並みに飲み込まれて見えなくなってしまった財前くんの背中を見送っていた謙也くんは、そのとき降ってわいたみたいに突然に、このままじゃ、自分はあの子ともう二度と会えないんだ、と悟ります。だってあの子は今、もういいって言った。それは自分との何もかもを彼が、諦めてしまったということに他ならない。あの子は自分を好きと言ったのに、自分が何も言えなかったばかりに、あの子はたったひとりで俺たちの、未来を決めてしまったんだ。もう会わない、という未来。あの子は俺を、好きと言ってくれたのに、そんなあの子にたったひとりで、俺は、そんな未来を選ばせたんだ。 その瞬間、するりと自然に喉からこぼれだした、「ごめん」というたったひとことの言葉を、女の子に言う謙也くん。泣きながら自分を見上げた女の子に、もう一度「ごめんな」と言ってから、彼は走り出します。財前くんの行ってしまったほうへ。散っていく桜の花びらに後押しされるみたいに。同時に背景で流れ出す「鱗」。うん、このシーンだけが書きたいがためにここまで長々と妄想を書き連ねましたマジこの女救いようがヌェー!!^^ 雑踏の中を人にぶつかりながら、そのつど「悪い!」「ごめん!」と謝りながら走って走って、走り続ける謙也くん。考えてるのはただ、あの子に会いたいというただそれだけ。何を答えなきゃいけないとか、好きって結局何なんだとか、結論なんか一個も出てないけど、でも、あの子を失いたくない。かわいげがなくて生意気で不遜で、先輩のことなんてちっとも敬ってないとんでもない後輩だけど、テニスが好きで、なんだかんだでこの学校とかレギュラーとかのことみんな好きで、それなりに懐いてて、ああ無表情の下で自分なんかと過ごした時間をまるで宝物みたいに大事に抱え込んで、まるで悲鳴をあげるみたいに俺を好きだと告げて、行き詰まった俺に「もういい」って言って初めて笑った、あんな瞬間にそうやって笑うしかなかった、そうしていなくなってしまった、あの優しくて悲しくて憎らしくてかわいい、あの子に会いたい。あの子に会いたい。あの子を失いたくない。ねえきっと神さま、答えなんて、ただそれだけでいいんだろう?それだけでいいんだろう? 好きって、それで、いいはずなんだ。 浪速のスピードスター謙也は、そしてとうとう校舎の裏、誰もいないところで膝を抱えてうずくまっている財前くんを見つけて、「もういい」って言っていなくなろうとした勝手な後輩の目論見を破ってやったことに笑って、安堵して、そしてその小さくたよりない背中を見下ろして息を切らせながら、「俺も、お前が好きや」って言えばいいです。動こうとしない財前くんの背中に何度も何度も、同じ言葉を降らせればいい。泳いでいけ、君のもとへ!それで、いいはずなんだ、と。 長かったもうすごいねむい^^ここまで読んでくれたひとがいたら神ですありがとうございますそして妄想過多すぎるって罪状は切腹で済みますか?とりあえずわたしの謙光のパイオニアかつ元ネタ参照にさせていただいたサキちゃんに捧ぎます。そして死んでくる^^勢いって大切だよねえーいアップしちゃえ明日も仕事だおやすみなさーい!!!!! あとがきそして謙光へ。この記事を書いたとき「謙光いいですね!」って言ってくださるひとがいなかったら、謙光やってなかった気がします。 |